結論
太陽光発電は、条件が合えば長期的にメリットが出る設備ですが、誰にとっても「得」になるわけではありません。
設置費用だけでなく、発電量(方角・面積)・自家消費・回収年数・メンテナンス・将来の交換リスクまで含めて判断することが重要です。
太陽光は「お得そう」で決める設備ではなく、
住宅性能や電気使用状況とセットで評価すべき“投資”と考えると判断しやすくなります。
(住宅全体の性能バランスについては
👉 【住宅性能の全体像まとめ】も参考になります)
太陽光が“合う家”と“合わない家”がある理由
太陽光の効果は、住宅条件と暮らし方で大きく変わります。
- 屋根の方角
- 屋根の大きさ(載せられるkW数)
- 日射量(地域差)
- 家族の在宅時間
- 電気の使用量
- メンテナンス発生リスク
同じ太陽光でも、
「回収しやすい家」と「回収しにくい家」に分かれます。
① 方角による発電量の違い
発電量は屋根の向きで大きく左右されます。
発電効率の目安(南向きを100%とした場合)
- 南向き:100%
- 南東・南西:90〜95%
- 東・西:75〜85%
- 北向き:50〜70%(非推奨)
南面が多いほど収益性は高く、
東西中心の場合は「載せられるが回収は控えめ」という評価になります。
② 屋根面積(載せられる容量)が収益性を左右する
太陽光は「面積=発電量」です。
目安
- 1kWあたり必要面積:約5〜6㎡
- 一般的な戸建て容量:4〜6kW
屋根形状の制約で3kW未満しか載せられない場合、回収効率は低下しやすくなります。
③ 設置費用の目安(モデルケース)
一般的な費用感
- 4〜6kW:約90〜150万円前後
費用が上がりやすい要因:
- 屋根形状が複雑
- 架台設置が必要
- 高性能パネル指定
- 配線距離が長い
※ 実際の費用は施工会社や屋根条件で変動します。
④ 年間メリットのイメージ(モデルケース)
想定
- 年間発電量:4,500〜6,000kWh
- 自家消費+売電メリット:7〜13万円/年
地域差の影響:
- 日射量が多い地域:上振れしやすい
- 雪国・日陰が多い地域:下振れしやすい
発電量は設備性能よりも、
立地条件と住宅性能の影響を強く受けます。
(電気使用量と住宅性能の関係は
👉 【断熱等級は本当に得なのか】の記事も関連します)
⑤ 回収年数の考え方(判断の軸)
計算式
回収年数 = 設置費用 ÷ 年間メリット
例
- 設置費:120万円
- 年間メリット:10万円
→ 回収:約12年 - 設置費:120万円
- 年間メリット:7万円
→ 回収:約17年
判断目安
- 10〜15年以内:前向きに検討できる
- 20年以上:慎重に判断すべき
⑥ メンテナンス・交換リスクも織り込む
太陽光は「載せて終わり」ではありません。
想定される主な費用
- パワーコンディショナー交換(15年前後):15〜25万円
- パネル出力の経年低下
- 汚れ・鳥害・落ち葉による発電ロス
また、蓄電池を併用する場合は
追加費用と回収性の考慮も必要です。
(詳しくは
👉 【蓄電池は本当に得なのか?】を参照)
⑦ 向いている家・向いていない家(総合判断)
向いている家
- 南向き屋根が多い
- 4〜6kW以上の容量が確保できる
- 日射量が多い地域
- 在宅時間が長く自家消費が多い
- オール電化
- 電気代が高めの家庭
向いていない家
- 北向き・複雑な屋根形状
- 載せられる容量が少ない
- 日陰・積雪・日射不足
- 共働きで昼間不在が多い
- 電気使用量が少ない
- パワコン交換費を含めると回収が長期化
まとめ
・太陽光は「条件次第で得にも損にもなる設備」
・方角・面積・地域・生活スタイルで収益性は変わる
・設置費だけでなく、メンテ費・交換費も含めて判断する
・回収目安は10〜15年以内が検討ライン
・住宅性能全体とのバランスが重要
太陽光は、
「何となく良さそう」ではなく「数字と条件で納得できるか」で決める投資です。
自宅条件を当てはめて試算することで、後悔の少ない判断が可能になります。
